紙の絵本制作奮闘記・作るかどうかわかりません(笑)5

「ある日 犬の国から手紙が来て」バンボと仲間たち
紙の絵本制作奮闘記・作るかどうかわかりません(笑)5

数日前に、見積もり依頼をお願いしたうち一社から封書が届きました。

ウェブサイトの見積もりのお問い合わせから、ページ数や表紙の装丁方法の種類、本のサイズ、個人名、住所、アドレスなど必要事項を雛形に書き込むだけで金額を教えていただける仕組みになっているようなのですが、会社によって対応が違うようです。回答をいただく速度も各社さまざまです。

会社は大きく分けて4種類あるように思います。

①自費出版専門の出版社

②出版社の自費出版部門

③グラフィックデザイン関係で印刷所と連携している会社

④印刷会社で絵本の装丁を手がける会社

わたしたちの場合、編集の方が入らなくて大丈夫で、書店で販売することを考えていません。
紆余曲折の末、④で良いと判断いたしました。

しかし当初は①〜④まで広範囲にわたって見積もりをお願いしていました。

届いた封書は①タイプの会社からでした。開封いたしますと、松井の名前が印刷された案内状と、出版のアドバイスが書かれたパンフレットと小冊子が入っていました。お返事はメールで十分なのに恐縮です。

さらに自費出版された方の成功例も紹介されていました。その方が執筆された本が紹介された地元新聞のコピーが同封されており、著書とともに嬉しそうに微笑む著者が写っていらっしゃいました。セカンドライフを楽しんでいらっしゃるシニア世代の方でした。心とお財布に余裕がある雰囲気が見て取れます。

リタイア後に豪華客船で世界を旅して、未知の文化や世界に触れて刺激を受ける…というお話を聞きます(コロナ以前です)。自らの本を製作する作業は「心の内側に向けた旅」なのかもしれません。

お互いの父にこのサービスをプレゼントしたら喜んで執筆しただろうなと思います。
二人とも他界しておりますが。

一瞬、父が出版したらということを真面目に考えてしまいました。せっせと執筆している背中が目に浮かびます。と同時に、出来上がったものを「どうかな?」と読まされて感想を求められ、やんわりとプロとしてアドバイスして、ものすごく怒られている自分もいました。昭和世代の頑固な父たちでしたから。

話がそれました。

パンフレットまで送っていただき心苦しいですがこちらの会社はフェードアウトさせていただこうと思っています。編集もISBNコードも必要ないのですから。

しかしまだ、見積もりをいただいておりません。
もしかすると④の印刷会社よりも良いサービスがあるかもしれませんし年の瀬の仕事納めの時期です。来年のお返事を待ちます。

このようにまだ数社、見積もりの回答をもらっていないところがあります。現在、揃っているだけの見積もりを比較すると、ほぼ同じ条件で、料金におよそ2倍の開きがあります。基本でサポート代が含まれてしまっているのかもしれません。印刷だけをお願いできるものなのか、もう一度、確かめてみたほうが良さそうです。

費用をどこまで抑えられるかは最重要ポイントと考えています。

クラウドファンディングでお願いする場合、金額が安価であればあるほど実現できる可能性が高くなるのではないかと思っています。今後も皆さんに情報をできる限り開示して、コストを含め、慎重に方針を選択をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

ただなによりも大切なのは、皆さんが欲しいと思っていただける本を作ること。

思いついたアイデアがあります。

絵本を読んだ方に、犬の国をより身近に感じていただくにはどうしたら良いだろうか?と、考えた結果、生まれたアイデアです。

絵本の後ろ見開きにポケットを作り「犬の国の10000ペロ札」と「人間用ニオイの招待状」を収納する。イメージとしては、昔、図書館の本に採用されていた貸出カードの部分を作るという感じでしょうか。

本を読んだあと、犬の国へ行けるチケットと犬の国で使えるお札が入っていたら…ちょっと素敵じゃないでしょうか。本当に行ける、実際にある、と感じて犬の国を身近に思い描いていただけるかも知れないと思っています。

犬の国の本は、愛犬を亡くされた犬友にプレゼントするケースが多いと聞いております。
招待状と10000ペロ(ペロは人間の国の円と同じ単位)をご覧になって、犬の国で暮らす愛犬の姿を思い浮かべる手助けができたら本望です。

でも制作費が膨らんじゃいますね…。

紙版の絵本ならではの特徴にもなると思うのですが、いかがでしょう。

さて年末とはいえ犬の国人間の国支店は深夜までフル回転です。通常業務の絵を描いたり文章を書いたりに加え、翻訳版を作っています。英語版に続いて、フランス語版を出します。電子版ですが。
この修羅場は年明けまで続くと予測されます。

修羅場で思い出しました。

さかのぼること15年ほど前、月もない深夜のことです。
仕事に区切りがついたので腹ごしらえに、ふたりで明け方までやっているスーパーへ買い出しに出かけました。

当時のアトリエは、東京都江東区。マンションが立ち並ぶ住宅地にありました。

大通りは避けて、昔は川だったところを埋め立てて作った薄暗い公園道を歩いておりますと、前方からかすかに、トントン、トントン、と壁を叩くような音が聞こえてきました。公園の時計は(当時はまだ時計が街のあちこちにありました)1時をさしておりました。

徹夜続きでぼんやりしていたふたりでしたが、ピリッと頭が冴えました。

妖怪…幽霊…???

ひとりだったら一目散に逃げ出していたと思います。が、ふたりだったのでちょっと気が大きくなっていて勇敢にも音の正体を確かめようとしました。そして、ふたりの視線は、右手にそびえ立つマンションの方向にロックオンしたのです。

建物の4階に、黒い人影が見えました。髪の長い女性が部屋のドアをノックしていたのです。
部屋の明かりは消えていました。

トントン…トントン…ドンドン…ドンドン…ドスドス。

音の間隔がだんだんと短くなり、叩く音に重みが加わっていきます。

さらに耳を澄ますと「いるんでしょ〜?」「あけて〜」と押し殺した、低い声。

まさに火曜サスペンスの一幕のような泥沼的光景です。
我々は見て見ぬふりで、気配を隠し忍者のようなステップでマンションの前を通過。
スーパーでササっと買い物を済ませ、30分くらいして同じ道を引き返しました。

その後、どうなっただろうか。

お互い口には出しませんが、ちょっと、いえ、かなり気になっていました。

部屋の前に、もう女性はいませんでした。
が、ドアに、女性が持っていた白いカサカサ袋がかけられていました。

そして真っ暗だった部屋は、淡い黄色の光がカーテンから漏れていました。

やっぱりいたのね…。

本当に留守だったら、帰ってきた時、あのカサカサ袋を取って家に入っていますよね。
あのカサカサ袋に、まだ、気づいていないのでしょう。家の中の彼は。もしくは、彼と彼女は。

…と、前を見て心臓が止まりかけました。

あの女性らしき人がベンチに座って部屋を見上げていたのです。

怖い。怖すぎ晋作。

犬の国の修羅場なんか、可愛いもんです。

…そろそろ仕事に戻ります。

本日もしつこくお願いいたします。買ってくださいませ。
「ある日 犬の国から手紙が来て」バンボと仲間たち

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